國分功一郎特別ゼミナール[第21回ビブリオテック文明講座]

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『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)刊行記念
特別ゼミナール
いかにして自らに快楽を与えるか?
講師:國分功一郎

講義内容:
 いかにして自らに快楽を与えるか?──この問いはわかりやすく言い換えれば、「どうやって楽しむか?」となります。なぜこんな面倒な形の問いを掲げたのかといえば、それは、”楽しむ”という行為が、実は大変に複雑な、そして厄介なものであることを強調するためです。
 ラッセルという哲学者は、「楽しむ」こと「快楽を得る」ことは訓練を要すると述べています(『幸福論』)。また、退屈の反対は快楽ではなくて、単なる興奮であるとも述べています。私たちは退屈と興奮という両極を行ったり来たりしながら、時折、何らかの拍子に、訓練に基づいて快楽を得ることができる……そのような図式がここには見いだせます。
 しかし、なぜ楽しむことには訓練が必要なのでしょうか? またそれはどういう訓練なのでしょうか? どういう訓練をすれば、人は楽しむことができるようになるのでしょうか? 訓練は何らかの変化をもたらします。では、快楽を得るためにはいったい何がどう変化しなければならないのでしょうか?
 また、退屈や興奮から快楽が区別されているということは、それが何らかの積極性を持っているということでもあります。退屈や興奮は受動的な現象です。しかし、快楽は何らかの積極性、主体性と関わっている。この積極性、主体性とはいかなるものなのでしょうか?
 このゼミナールは、以上のような問いを出発点としながら、快楽という問題について考えるための足場を組み立てることを目指します。講師自身、まだこれら問いに対して明確な答えを持ち合わせていません。参加者の皆さんにヒントとなる材料(概念、テキスト、現段階での考察等々)を提示しながら、一緒に考えていく場にしていきたいと思います。
 参加希望の方には教科書に指定された文献を読んできてもらいます。また適宜、参考文献の中から関心のあるものを読んできてください。

日 時:2011年11月25日(金)19:00〜21:00(18:30より受付開始)
*使用テキスト:ピエール・クロソウスキー『ロベルトは今夜』河出文庫

参加費:1,500円(当日精算)
予約制:電話または、メール(biblio@superedition.co.jp)にて、件名「國分氏ゼミナール希望」・お名前・電話番号・参加人数、をお知らせ下さい。
    Tel.03-3408-9482
注意!使用テキストは受講日までに各自読んでおくこと。
    ※50名様になり次第締切り
電話予約受付:火〜土曜 12:00〜20:00
       日、祝日 12:00〜18:00
会 場:Bibliothèque(ビブリオテック)

◆教科書◆
─ピエール・クロソウスキー『ロベルトは今夜』河出文庫
◆参考文献◆
─バートランド・ラッセル『幸福論』岩波文庫
─ロラン・バルト『テクストの快楽』みすず書房
─ピエール・クロソウスキー『生きた貨幣』青土社
─ピエール・クロソウスキー『ディアーナの水浴』水声社
─ルネ・シェレール『歓待のユートピア』現代企画室
─ジークムント・フロイト「快感原則の彼岸」(『フロイト自我論集』ちくま学芸文庫/「快原理の彼岸」フロイト全集第17巻、岩波書店)
─國分功一郎『暇と退屈の倫理学』朝日出版社
─國分功一郎「歓待の原理――クロソウスキーからフーリエへ」
http://ameblo.jp/philosophysells/entry-10905760250.html

講師プロフィール:
國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。高崎経済大学経済学部准教授。専攻は哲学。著書に『スピノザの方法』(みすず書房)、訳書に、デリダ『マルクスと息子たち』(岩波書店)、コールブルック『ジル・ドゥルーズ』(青土社)、ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)、共訳として、デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉』(岩波書店)、フーコー『フーコー・コレクション4』(ちくま学芸文庫)、ガタリ『アンチ・オイディプス草稿』(みすず書房)がある。
ブログ: http://ameblo.jp/philosophysells/
ツイッター: http://twitter.com/lethal_notion

講師の新刊──『暇と退屈の倫理学』amazonで購入
著者:國分功一郎
出版社:朝日出版社
価格:¥1,890(税込)
内容:400頁を越す本書をつらぬく著者の関心は、「人間らしい生活とは何か?」です。パスカルの有名な断章「部屋にじっとしていられないから、人間は不幸を招く」を皮切りに、文化人類学、考古学、経済学、消費社会論、動物行動学、そして「退屈論の最高峰」と著者が考えるハイデッガーの「形而上学の根本諸概念」を渉猟し、答えに接近します。平易な文体、熱く勢いある思考が、ポジティブで自由な生の可能性を拓きます。「わたしたちはパンだけでなく、バラも求めよう。生きることはバラで飾られねばならない」──このウィリアム・モリスの宣言を正面から受けとめ、現在と未来に生かそうというのです。溌剌と、明るく、しかも、哲学的な根拠をもって、「私はこう考えた。みなさんはどう思いますか?」と問いかけます。